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ベンチャー流Webサービスの作り方(開発チーム編)

Thu Jul 26 08:06:56 -0700 2007

尾藤正人(a.k.a BTO)です

前回はWebサービスを作るときの企画の部分について書きました (ベンチャー流Webサービスの作り方(企画編))。 今回はWebサービスを作るときの組織作りについて書いてみたいと思います。

僕がウノウに入って始めたのがフォト蔵の開発でした。 当初は開発が僕、ディレクションが代表の山田という二人体制でやってましたが、 組織が大きくなるにつれてだんだんと人数が増えていきました。 現在は僕も山田もフォト蔵からは離れて新しいチームで開発を行っています。

二人体制から始めて、少しずつ人数を増やしていって、 立ち上げメンバーが開発から離れるまでいろいろ経験しながら 自分が感じた事を簡単にまとめたいと思います。

・最終決断は一人で

何をするのか、戦略はどうするのか、方向性は何なのか、最終的な決断はリーダーが一人で行います。 個人の主張を尊重しすぎて、各々が好きな事を始めると体制がめちゃくちゃになります。 2:8の法則は、どんなに優秀な人、やる気のある人を集めても必ず成り立ちます。 最終的なビジョンの部分まで考えて行動できるのはリーダーだけです。

最終決断をリーダーがくださない状態になると以下のような事柄が発生します。

方向性がブレる - 大きなことやるにはチームが一丸となって取り組む必要があるのです が、 一人一人が自分のやりたい事しかやらなくなるので、何がやりたいのかがさっぱり分からなくなります。

全体の事を考えなくなる - サービスは一つの事柄だけとらえてはダメで全体として考え ないといけないのですが、 自分の範囲でしか物事を思考しなくなります。 過去の例としては、 「富豪的に機能を追加・変更する -> サーバ負荷が高くなる -> 誰も異議を唱えない」 「重大な不具合が発生 -> リーダは知らんぷり -> 他の開発者は自分の案件だけ -> 緊急対応にも関わらず対応してるのは担当者だけ」 というのが実際に起こりました。

・リーダーに必要な要素

では、リーダーはどういうことをやればいいのかをまとめてみます。

ビジョナリーである - 企業としてサービスの開発を行うなら大きなビジョンを持ちまし ょう。 小さな前進しか考えられないのであればリーダーの資格はありません。

決断力がある - 大きな事を実現するには大きな決断が必要です。 大きな決断をくだすのは、言うのは簡単ですが実行するのはなかなか難しいです。 失敗を恐れずに実行しましょう。決断をくだすことができる精神力を鍛えましょう。

こだわりを捨てられる - 実際にやってみるとうまく行かない場合がほとんどです。 そういう時に事実を客観的に受け止めて、考え方を変えるのは実はなかなかできません。

技術が分かる - 一流のプログラマである必要はありませんが、 プログラムを書けるようにはなっておきましょう。 技術が分からなければ実現可能性があるかどうかの判断もできません。 どうしても技術が分からないというのであれば、信頼の置ける参謀が必要です。

技術にこだわらない - 技術ができる人に多いのですが、 技術にこだわりすぎる人がいます。 最終目標はサービスの成功であって、高度な技術を活用することではないはずです。 あくまでも技術は目的を実現するための手段であることを心得ましょう。

雑用を積極的に引き受ける - 良いシステムを作るには現場の開発者の力が必要です。 リーダーは積極的に雑用をこなして、開発者が開発に集中できる体制を整えましょう。

開発者の希望をできるだけ尊重する - 開発者がシステムを作る原動力はモチベーション です。 どんなに優秀な人でもモチベーションのある人とない人とでは、 自ずと結果が違ってきます。 最終決断をくだすのはリーダーですが、 その中でもできるだけ開発者の意向を尊重するようにしましょう。

・コア開発者を捕まえる

自社でシステムを作るのですから、コアはしっかりと握っておきたいところです。 できるだけ自社のエンジニアに開発してもらいましょう。 外注するなら協業にしましょう。 いいサービスを作るのにはモチベーションが必要です。 単なる受託開発では真剣にやってもらえないので、協業にして密にやりとりしましょう。最悪なのが外注先のたらい回しです。 システムがどんどん汚くなって収集がつかなくなります。

・無駄なミーティングを増やさない

人数が増えてくるとだんだんミーティングの数が増えてきます。 何も考えずにやってると、いつの間にかミーティングの時間だけが増えて、 一生懸命やってるのに全然進まないという事態に陥ります。 定期的に見直して、ミーティングの数を減らす、効率よく行う努力を怠らないようにしましょう。

・ミーティングに参加する人数を増やさない

人数が増えてくるとミーティングに参加する人数がどんどん増えてきます。 人数が増えてくると時間がかかって議論がまとまらなくなるので全然進まなくなってきます。 細かい単位に分けたり、メリハリをつけるなどして工夫しましょう。

・フルコミットする

片手間でやるのはやめましょう。 受託開発をして日銭稼ぎつつ、 あるいは本業を持ちつつ空いた時間で片手間でサービスの開発を行うのは想像以上に厳しいです。 パートナーが別に仕事持っているならいさぎよく辞めてもらいましょう。 今の仕事を捨てられない程度の覚悟しかないのなら、 最初からやってもらわない方がマシです。

収益の不透明なサービス開発にフルコミットしてもらうのは、 組織的にも資金的にも苦しいと思います。 なんとかしてフルコミットしてもらえる体制作りをしましょう。 それは経営者の仕事であり、リーダーの仕事でもあります。

・まとめ

Webサービスの開発は戦略から要件定義、開発まで全て自分達で行います。 身内だけでやっていると、結果に対する評価がどうしても甘くなってしまって緊張がなくなりがちです。 適度な緊張感とモチベーションを維持しつつ、開発を続けていくにはしっかりとしたチーム作りが必要不可欠です。