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デザイナの立場からの「デザイン依頼のコツ」

Sun Dec 09 07:16:59 -0800 2007

こんにちは。yamazakiです。
このブログをご覧になっているのはエンジニアの方が多いと思いますので、デザイナの方とのやりとりをされている方も結構いらっしゃるはず。
社内で「どういうふうに依頼されるのがデザイナとしてはいいもの出てきやすい?」というお話を振られたので今回はそれについて書いてみようと思います。

※もちろんあくまでこれは私個人が思うところであり、全てのデザイナにあてはまるわけではないと思います。
ので、できればこれをご覧になったデザイナーの皆様も、「こういうふうに依頼してくれると力が発揮できる」というポイントなど書いていただけたら非常に嬉しいです。
また逆に、デザイナにはこういう点気をつけて欲しい、といった、エンジニア視点でのデザイナへのリクエストなどもいただけると嬉しいです。

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ビジョン、ゴールを共有する

これは複数の人間が関わるプロジェクトなら当たり前といえば当たり前かもしれませんが…。

たとえば、サイトのリニューアルをするのであれば、
など、色々な「事情」、「何をしたいのか」「何を求めているのか」があるはずですし、
新規に作るサイトであれば
など、色々な野望やコンセプト、ターゲットなどお考えのはずです。

通常、どんなサイトを作るにしても、デザイナよりも依頼者のほうが持っている情報量は多いはずですし、考えていること、こだわり、マインド、色々な部分において依頼者のほうが強いものを持っているはずです。それをできるだけ多く共有し、うまく巻き込んでいただけると、デザイナとしてもアイデア出しや絞り込みがしやすいですし、結果としてアウトプットもよいものが出やすいのではないかと思います。

できるだけ企画の早い段階から関われるように

企画のできるだけ早い段階から関わって口を挟んでいるほうが、デザイナの本来の能力を発揮しやすいです。
たとえば以前、エンジニアのかたがサイト構成や画面構成、UIをほとんど組み上げた段階で、「これをデザインしてください」と言われたことがありました。
正直、そこまで出来上がってしまっていると、変更のコストその他色々な要因で、デザイナとしてできることは、見た目を整える、くらいのことになってしまう場合があります。
もちろん、見た目を整える、というのもデザイナの大事な仕事なのですが、それよりももう少し前の段階から関わることができれば、サービス内容やターゲットに合った画面構成やサイト構成、インタラクションを提案して仕込むことができますので、結果としていいものがアウトプットされやすいと思います。

細かく指定しすぎない

例えば依頼者から「ここはこういうふうに」とこと細かな指示をいただいたり、「●●のサイトと同じような見た目にして」というような形で依頼をいただいた場合、デザイナ側では大抵その指定どおりに作ることになります。それが一番トラブルが少なく、余計な時間(つまりコスト)もかからず、お互いにとって「無難」だからです。
ですが、もしかしたらデザイナは発注者の考えるものよりももっといいアイデアを持っているかもしれません。(というか、持っているべき、ですね…)
指定はある程度細かくいただきたいですが、「ターゲットはこうで、コンセプトとしてはこうで、考えてるイメージとしてあるのは●●のサイトみたいなものなんだけど、もっといいアイデアがあればぜひ提案してほしい」といった、デザイナのアイデアが入り込む余地のある形で依頼をしていただけると、発注される方がどのような事を考えているのか理解しやすく、また色々な提案もしやすいので、最終的なアウトプットとしていいものになる可能性が高まるのではないかと思います。

「どこからどこまでやってほしいのか」をはっきりさせる

プロジェクトによっては、サイトの構成や文章などはすべて別のかたが考えて、デザイナはビジュアルを美しく仕上げること、に注力することもあるでしょう。
逆に文章、構成などひっくるめてサイトのオモテの部分はすべてデザイナがやる、ということもあります。
デザインの依頼をされる場合は、できるだけ「どこからどこまでを任せたいのか」という点をある程度はっきりさせておいていただけるとやりやすいです。

素材のご用意はお早めに

以前あったお話なのですが、依頼をいただいた段階ではロゴが決まっておらず、なかなかロゴなどの素材がいただけないということがありました。
ロゴやサイト内で使いたい素材などは、できるだけお早めにいただけないと、なかなか作業が進められないことがあります。
素材はできるだけ早めに決定稿をご用意いただけると、それだけ実際のデザインに時間の余裕もできますので、結果もよくなると思います。

できる限りのデータを共有する

例えば、サイトリニューアルの案件だった場合、
といった何かしらのデータの蓄積がある場合もあると思います。そういったデータは可能な限りデザイナと共有するようにしてほしいと思います。
そうすると、デザイナ側でもデータを見て、依頼いただいた内容をさらに改善する提案もできますし、デザイナ的な視点に基づく疑問点や戦略的な問題など、色々と気づくことがあります。
せっかくデザイナに依頼するのですから、それは「デザイナ視点」での意見を得られるチャンスです。積極的に活用していただきたいと思います。

修正指示はできるだけ具体的に。そしてちゃんと理由を添えて。

例えば、「このページをもっと楽しい雰囲気に」といった類の修正依頼は、デザイナとしてはかなり困ります。
「楽しい雰囲気」というのは、人によって様々です。依頼者の考える「楽しい」とデザイナの「楽しい」がズレていると永遠に平行線になってしまいます。
もう少し具体的に、例えば「このページは子供も見るページなので、子供が喜ぶような、ポケモンとかそういうキャラクターが入ってるような感じで楽しさを出したい」など、例を交えながら伝えていただけると、イメージがつかみやすいです。
また、そこを直したいと思う理由は何なのか、も添えていただければ、「そういうことであれば、こういう形はどうでしょう?」と、修正以上の対応・提案ができる場合があります。「どうしてそのように変更したいのか」の部分も伝えていただけると、いい結果になると思います。

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以上、ほとんどの部分は、デザイナがヒアリング・打ち合わせの際にできるだけ聞き出すべきところ、も多いのですが、こういったことをデザイナ側で知りたいと思っていることを考慮に入れていただいて、事前に資料などご用意いただくなどしていただけると、プロジェクトがスムーズに進み、よりよいアウトプットも出てくるのではないかと思います。

他にも書き忘れた点や、人によってこうしてほしい、といった部分があると思いますので、そのあたりはきっと他のデザイナの方が何か書いてくれるに違いない…と無駄に煽りつつ、今回は締めさせていただきます。