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一人の人を幸せにすることで、より多くの人を幸せにするサービスを考える。
Thu Mar 22 09:37:30 -0700 2007
Sashaです。気がついたら自分の生活の一部だった。そんなサービスが人に小さな幸せを生み出します。そんなサービスを作ることが出来たらいいですよね。
でも、人っていっても、色々いますよね。私たちは、だれの生活を思い浮かべたらいいのでしょう。
UIという文脈の中で、ペルソナ(personas)という言葉の意味を聞いたことがありますか?ペルソナは、マーケティング、デザイン、製品開発など幅広い分野で、顧客中心思考を実現するためのひとつのキーワードとして論じられています。
UIに関していえば、樽本徹也氏が「ユーザビリティエンジニアリング」という本の中でこの言葉について説明されていますので、ご紹介させていただきます。
ペルソナとは、UI設計の中で設計チームの意思決定のよりどころとなる「ユーザ像」をさします。「だれのためのサービスか」、を明らかにすること。当たり前のようなことですが、日々、バグやクレームや締め切りに追われる開発者たちにとっては、本当に忘れやすいポイントだということを、私もよく実感します。
ペルソナは、実在する人物でも、私たちが勝手に作り上げる人物でもなく、「発見するもの」です。樽本氏はペルソナを構成する以下のような手順を紹介しています。
1. 数十名規模でインタビューを実施する
2. 同じようなニーズや目的を持っているユーザーを、グループ化する
3. グループごとに、ライフスタイル、ITリテラシー、サービス利用の目的などを踏まえてユーザ像(ペルソナ)を定義する
4. このペルソナを持った人物に、"もっともらしい"個人情報をつけてあげる(キャラクター誕生!)
例えば、
右脳優子さん(35歳)
主婦。最近ちょっといいデジカメを買った。決してプロレベルの写真ではないけれど、自分の写真の中の一人息子の笑顔をたくさんの人に見せたくて
フォト蔵
を利用。ネットサーフィンや情報収集のためにPCには毎日短時間ずつ触れている。
左脳秀蔵さん(29歳)
IT企業に勤めるプログラマ。ネットには四六時中つながっていて、職業的興味から暇さえあれば新しいサービスを試している。最近フォト蔵のAPIをつかって何か面白いことが出来ないか模索中。
その他数名・・・。
5. ペルソナに優先順位をつける!!
私たちは、優先順位の「最高値」をつけられたペルソナ、つまり、プライマリペルソナを、セカンダリペルソナより、「えこひいき」しなければならないんですよね。もちろん、セカンダリペルソナを排除しなければならない、ということではありません。限られた時間でより多くの人々の生活にとって「なくてはならない」サービスを作るには、『より多くのニーズ』を満たすよりも、『より多くの人のニーズ』を満たして「お得意さん」になってもらう必要があります。でも『より多くの人のニーズ』が実際に『多すぎるニーズ』であると、事業は方向性を見失ってしまうものです。ですから、『より多くの人を代表する、一人の人のニーズ』に意識を集中させる必要があるのです。サービスの方向性で重要なのは、「どのキャラクターからの要望」なのかを議論すること。多様化するユーザーニーズにいきあたりばったりに対応しようと思っても、相反する要望が出たときに行き詰ってしまいますが、ペルソナを使えば迅速な意思決定が可能になるかと思います。
ちなみに、「右脳優子さん」と「左脳秀蔵さん」を紹介するにあたり、私は手順の1番目の「インタビュー」を実際に行ったわけではありません。この点でこの二人のキャラクターは「勝手に作り上げられた人物」であると突っ込まれるかも知れませんが、この二人のキャラクターは実際にフォト蔵ユーザーの中に存在するペルソナですし、そもそもここで話しているサービスにしてもこの記事を書くための一例ですので、大目に見てください。
フォト蔵の場合、右脳優子さんは左脳秀蔵さんより多くのユーザーを代表しています。ですので、右脳優子さんのニーズは左脳秀蔵さんのニーズより比重を置かれるべきです。より多くのユーザーを代表するペルソナを作れば、「より多くの人を幸せにする」というとても複雑な事業目標も、「まずは右脳優子さん一人を幸せにしよう」というシンプルなものに整理され、方向性がブレにくくなると思います。
まずは、右脳優子さんの生活を思い浮かべてみる。どうやったら、ひとつのサービスがこの人の生活の一部になれるのでしょうか。どうやったら、この人を「ちょっと幸せ」にできるのでしょうか。
『まずは、一人の人を幸せにしよう』
それをいつも考えていようと思います。