前回のレイアウト講座、いかがだったでしょうか。
今回は、前回の続きとして、さらにもう少しあれこれと、名刺・書類などを作るときに役に立ちそうなレイアウト回りのコツなどを、やや補足的に書いてみようと思います。
なお、今回も作例はフォントを「HGP創英角ゴシックUB」「HGPゴシックE」、色は黒のみ、でやってみることにしておきます。
安定/不安定
「安定した見た目」「不安定な見た目」というのがあります。実際にいくつかやってみましょう。
上のほうに大きなもの、太いものがあると、どことなく不安定な印象になります。
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下のほうに大きなもの、太いものがあると、安定感が出てきます。
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左右/上下が線対称、もしくは、点対称であれば安定感が出ます。
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左右/上下が非対称だと、不安定な印象になります。ついでにやや傾けたりすると余計に不安定感が増します。
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で、この「安定」「不安定」がどういった印象につながるかというと
安定したものは、
「落ち着き」や「安定感」、「信頼感」といった印象が出てきます。
一方で「没個性的」「つまらない」「あたりさわりのない」といったややネガティブな印象を与えることもあります。
不安定さというのは
「個性的」「洗練された」「若者的」「都会的」な雰囲気を出すのに適していると思います。
一方で「粗野」「不安定」「信頼性のない」「落ち着きのない」などの印象につながることもあります。
整然/乱雑
整然としたものには「美しさ」や「上品さ」「丁寧さ」などを感じます。
整然としたもの、をイメージしてみてください。大抵のものは「列がそろっている」とか「等間隔」とか「左右対称」とかいったものが浮かぶと思います。
つまり人は「規則性のある」ものには「整然としている」という印象を受けます。そして、そういった「整然とした」様子に、「美」「整った印象」「信頼感」「安定」といったものを感じます。
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逆にその「規則性」を壊してしまえば「乱雑」になります。「乱雑」になると、「粗野」「適当」「乱雑」「いい加減」「勢いがある」「暴力的」など、あまりビジネス方面向けではよくなさそうな印象が強く出てきます
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が、これはこれで、たとえばロックミュージシャンの名刺、などであればかなりカッコイイ印象になるかもしれません。
グリッドレイアウト
グリッドレイアウト、について書き始めると、だいぶ長くなりそうなのでここではさわりだけ。
前項の「整然」を意識して行う場合には「グリッドレイアウト」というのを意識してやると「整った」見た目を作りやすくなるかもしれません。
グリッドというのは、「格子」のことで、たとえば名刺の中にこんな線があると想定してみましょう。
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で、この格子のラインにそろうように要素を当てはめて、かつバランスのよさそうな位置に置くように気を使って名刺作ってみると…
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線はどこにも引いていないのに、文字の境界によって線が浮かび上がって、整った印象になります。
また、グリッドを傾けたり、グリッドの間隔をダイナミックに変えることで、ただ「整然とした」というだけでなく、「整っていて美しい上に個性的」「整然としているけどアヴァンギャルド」など、さらなる味付けへと発展させることもできます。
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この「グリッドレイアウト」という手法は、Webデザインの現場でもかなり多用されているやり方ですので、Web方面のデザインをやっている方は知っておくとかなり便利です。興味のある方は「グリッドレイアウト」をキーワードにあれこれ調べてみると、非常に有用なリソースや本などが色々みつかりますのでぜひ調べてみてください。
今回はだいぶ急ぎ足で書いてしまいましたが、いかがでしたでしょうか。
名刺ひとつ、文字の並びひとつとっても色々とやり方、考えるポイントがあるものです。
大事なのは、自分が一体この名刺で「どういう人だと思われたいのか」「どんな印象を与えたいのか」を少し考えてみる事、です。そこがはっきりしさえすれば、おのずと選ぶべきレイアウトなどが絞られてくると思います。
あとは実際に、最終的にどういう形に仕上げるか。そこはそれぞれのセンスで。もちろんこれまでのセオリーを破るのもひとつの方法です。クリエイティブにいきましょう!