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日本と海外の携帯や携帯コンテンツ市場について色々(個人的)な感想

Sun Mar 07 18:53:55 -0800 2010

はじめまして、1月入社のBrandonと申します。
シンガポール出身で日本ではまだ一年ほどしか働いた経験がないので、
もし日本語で変なところがあったらお許しください。(ご親切にご指摘頂ければさらに幸いです)。

入社したら周りがすごい人達ばかりで、もともと自分がまだまだだなーと思っていたとこをさらにまだまだだなーと思わせる人たちばかりです。
一応エンジニアですが、エンジニア経験はないに等しいもので、このブログを読んでいる人たちに技術系の話をしたら失礼な気がします。
とは言うものの、近いうちに技術系の話はしたいと思っています。
(教えるという立場より、ご指導や意見を頂ければという立場、もしくは教え合おうという立場から)
でも今日は日本と海外の携帯市場についてのちょっとした感想というか、思いついたことの小まとめをみんさんとシェアしたいと考えております。
あくまでも個人的な感想ですので、ただ一人の人間の意見として読んで頂けたらと思います。

長年シンガポールに住んでいたので、海外携帯市場の認識はシンガポールにいる携帯ユーザーの観点的なところもあったりすると思いますが、携帯に関しては日本以外の国はほとんど似ていると思いますので、地域や国によって違いが多少あっても肝心なところに大きな違いはないかと思います。
それと、近年携帯市場の変化はiPhoneが中心になっているようなものなので(特に海外では)、iPhoneがリリースされた前とiPhoneがリリースされた後の段階に分けた形でまとめたいと思います。


iPhoneがリリースされる前

日本と海外の携帯市場は「携帯のみコンテンツ」と「定額プランの違い」のところで決定的な違いがあります。

海外では、携帯のみコンテンツ(コンテンツ)が日本より遥かに少ない。ほとんどないに等しいレベルだったでしょう。
日本と違って、海外ではパケット放題プランがあまりなかった。あるとしてもほとんどが月額のかなり高いプランになってしまいます。
一般の人達が携帯で使うのは、電話とSMS(短信)だけです。
短信はメールと違って、データで料金が計算されるのではなく、メッセージ数で料金が決まるので、データとは何の関わりもない機能です。
情報を調べる時やコンテンツを消費する時はほとんどみんながパソコンや他の媒体などを使用するシチュエーションが多いです。

日本ではほとんど逆な状況になっています。
海外の人からみたら、日本の携帯のみコンテンツは信じられないほどありすぎると感じるでしょう。
一般の人達が情報やコンテンツを消費する時は、携帯を使うシチュエーションが多いです。
逆に一般の人達の中でパソコンが使える人が少ないです。
3年前の事になりますが、私の友達に慶応大学の3年生がいて、その人がMS Wordの基本的な使い方すら完全に知らなかったです(起動の仕方やコピペのやりかたさえわからなかった)。
正直ショックでした。


iPhoneがリリースされた後:海外

ところが、iPhone(特にiPhone 3G)がリリースされてからは海外の携帯市場が急激に変化しました。
iPhoneが出る前からもスマートフォンはありましたが、
iPhoneの使い心地や使いやすさは今までのスマートフォンとレベルが違うものでした。
実際に使ってみたことある人は実感できるでしょう。
(私の場合は、Palm Treo使っていましたが、友達のWindows Mobileスマートフォンとかをいじらせて貰ったこともありまして、iPhoneとは比べ物にならないほど使い心地が悪かった)
今まで殆どはビジネスマンとかしか使わないスマートフォンでしたが、
iPhoneが出てからは一般の人達も使うようになりました。

私からみれば、携帯市場に一番インパクトを与えたのはiPhone 3Gのリリースです。
iPhone 3Gで大きく変わったところ:

スマートフォン所有コストの低下
今までのスマートフォンは、2年契約を結んだ上で機種代が(日本円で言えば)6万円〜10万円ぐらいはするものでした。ところが、iPhone 3Gが当時市場に出ているスマートフォンの半分以下の値段でした(2年契約付きで機種代が実質2~4万円)。定額データ通信料も今までのプランより安いプランが出ました。今まで非スマートフォンより遥かに高かったスマートフォンは突然同じぐらいの値段で買えるようになりました。

(ある意味)「携帯向け」ウェブコンテンツの増加
海外では携帯端末に制限された「携帯のみのサイト」があまりなくて、携帯端末がアクセスするコンテンツはPCと同様のウェブコンテンツが多いです。海外での「携帯向け」サイトのほとんどは「携帯に表示を最適しただけ」のサイトです。インターネットのサイトは普通にスマートフォンで見れて、「携帯向け」サイトも普通にスマートフォンや携帯で見れます。

iPhoneが市場に出る前に携帯でウェブコンテンツをアクセスすることがそれほどブームしていなかたのは、定額データ通信料のコストやスマートフォンの使い心地の悪さが主な原因でした。
しかしiPhoneがリリースされたことで、携帯でウェブコンテンツをアクセスする使い心地が一気によくなり、携帯からウェブコンテンツへのアクセスが爆発的に増えました。

その上に、iPhone向けに表示を最適したサイトなどが多くなり、App Storeでウェブサービスとの連携できるアプリも多くリリースされ、使い心地がさらによくなる上に、iPhoneでできること1年や2年で急激に増えました。さらに携帯(iPhone)ゲームが信じられないほどのブームを迎えて(オンラインゲームもオフラインゲームも)、携帯や携帯コンテンツの「楽しさ」が一気にあがりました。
というように、今まで「携帯コンテンツ」がほとんどなかった海外で、コンテンツの量が急激に増加しました。

グローバル発売
iPhoneはアメリカのみのリリースだったので、アメリカ国以外の国に大きな影響を与えることは難しかった。しかしそれもiPhone 3Gのグローバルリリースで事態が大きく変わりました。iPhoneが世界的に売れたことの直の影響で、世界の各地に開発者からの貢献のお陰で「携帯向け」コンテンツが急増しました。今まで人々が携帯ウェブに対する態度やスタンスが一気に変わり、日本以外の国の「携帯コンテンツ」は著しいブームを迎えることになりました。しかもそれは、規模も自由度も色々制限されている日本の「携帯のみコンテンツ」を遥かに超えた、「グローバルインターネットウェブコンテンツ」でした。


iPhoneブームへの反応として、Web OSやAndroidなど、iPhone OSを意識した「次世代」携帯OSが次々とリリースされました。それらがリリースされた時点ではもうiPhoneのリードが大きすぎた事実もあり、未だにまだiPhoneが大半のマーケットシェアを占めています。この状況の中で、一番苦戦しているのは「今までの携帯」です。例として、海外で絶大のマーケットシェアを占めていたNokiaでさえ苦戦しています。

iPhone 3GSが携帯さらに携帯市場の将来の方向性を示してくれたでしょう。操作が簡単で使い心地がよい上に処理が早い。私iPhone 3GのときからiPhoneを使用していて、3GSがリリースされる前からiPhone 3Gは遅いと感じていました。アプリを起動するやサイトを開くなど処理にかかる時間が長すぎてイライラします。パソコンが隣にあればiPhoneでウェブをしたくありません。あくまでも外にいる時にパソコンがない状況で仕方なく使うものでした。しかしiPhone 3GSでそれが変わりました。パソコンが隣にいても、ベッドで横になったままiPhoneでアクセスすればいいやって思う時もあります。しかも携帯のプロセッサに関してはまだまだ進歩し続ける領域であるので、これから携帯端末がもっと早くなると期待できます。まさに「携帯がパソコン、パソコンが携帯」という未来のビジョンがよりはっきりと目に浮かぶようになりました。


iPhoneが発売された後:日本

ところが、日本では海外に比べてiPhoneの影響が弱いです。もちろんiPhone(とくに3gsになってから)は日本でもかなりブームしています。ソフトバンクの顧客純増数を見れば誰でも分かることでしょう。しかし、日本は他の海外と違っていて、非スマートフォンの携帯端末が非常に進んでいる状態にあります。iPhoneがAndroidやWeb OSリードしているみたいに、日本では「携帯のみコンテンツ」がiPhoneがリリースされる前から遥にリードしていることが事実です。それもコンテンツだけではなく、FelicaやモバイルSuicaなど人々の日常に浸透している端末連携機能も存在しています。こういう状況の中で、iPhoneに興味のある人でも日本携帯端末で捨てがたいところはたくさんあるでしょう。特に携帯のみコンテンツは規模が半端なく巨大であり、それにはまっている人たちは携帯のみコンテンツから完全に離れることにはかなり抵抗を感じるでしょう。

こういう背景もあって、完全にiPhoneだけに切り替えるのではなく、「2台目」としてiPhoneを使う人達が多くいます。しかし、それだと月々の費用や端末代が倍になるので、誰もが選択できる選択肢ではありません。むしろこんな不利な状況の中でiPhoneがここほど売れていることはかなりの成功と言えるでしょう。

しかし、日本の携帯市場はこのままで本当にいいでしょうか?

海外では間違いなくiPhoneをはじめとしたスマートフォン革命が始まっています。非スマートフォン式携帯はどんどん淘汰されつつあり、特に先進国では今までの非スマートフォン式端末がスマートフォン式端末に越される日はもう遠くないでしょう。そして世界は国やキャリアに限られたコンテンツやサービスではなく、世界的なコンテンツやサービスに移行としています。
ところが、日本の場合、大衆が非スマートフォン式携帯から離れる傾向は海外に比べて弱いように見えます。このままだと、日本だけが取り残されるという危険があるのではないでしょうか。


日本携帯市場の鎖国

日本の携帯市場は、今にはじまったことじゃないが、一種の鎖国状態にあると言えるでしょう。他には「ガラパゴス」という言葉もよく聞きます。
海外端末はSMS、日本端末はメール、などの根本的なところで日本の携帯は海外で携帯と違っていて互換性がほとんどありません。

しかし、スマートフォン革命が起きる前は日本にいる誰もがそれを気にしたことなかったでしょう。
スマートフォン革命が起こる前の海外携帯市場は鎖国状態ではないが、コンテンツプラットフォームがなりたっていなかったです。日本携帯市場が鎖国状態にあってもそうでなくても、世界へモバイルコンテンツを発信することは難しいことでした。

しかしスマートフォン革命でその状況が変わりました。世界は世界にコンテンツを発信受信できます。もし日本が今までの携帯のみコンテンツにしがみつき過ぎてスマートフォン革命が使った新しい市場に入り遅れたら、大きなビジネスチャンスを失うことになるのではないでしょうか。

このような事態を回避するには、キャリアやメーカ側の責任が特に重大だと思います。
キャリア側:海外端末との互換性を改善する
海外スマートフォン端末は日本では携帯として非常に苦労するところがもろもろとあります。
例:Androidから携帯端末にメールを送ったらPCメールフィルターかかってる人にから迷惑メール扱いになるし、その上メール送信失敗通知さえこないからコミュニケーションが成り立たないです。
まさに鎖国とはこういうことでしょう。日本携帯機種じゃないものはシャットアウトされます。
iPhoneはi.softbank.jp独自のソフトバンク提供メールアドレスでこの問題をある程度解消しているが、i.softbank.jpを使えば結局GmailやMobileMeを持っていてもメインとして使えないことになるし、ソフトバンクから離れればメールアドレスもなくなるし、ソフトバンクはメールフォーワード設定出来ないし...などなど基本的なメールをするだけでもたくさん不便が生じます。
そういう根本的な問題が解消されない限り、海外スマートフォンが日本で普遍になる日は来ないでしょう。来るとしても余計に時間がかかってしまいます。
メーカ側:海外でも日本でも使える互換性ある端末を作り、それらを日本独有のサービスに対応できる携帯にする
モバイルSuicaやFelicaなど日本独特の携帯機能に対応出来るようなスマートフォン端末を日本のメーカが製造すれば、「海外スマートフォンだから〇〇ができない」という問題が解消されます。(さらにそれらの端末は海外でも使える仕様になっていれば、端末やサービスそのものを海外に売り出す可能性もなくはないでしょう)

残りは日本の携帯のみコンテンツの問題ですね。日本の閉鎖的な携帯のみコンテンツは海外の携帯が使える日は永遠に来ないでしょう。海外のスマートフォン革命で発信されるコンテンツだけで、日本の携帯のみコンテンツの代わりになれる豊富なコンテンツができるシチュエーションは難しいと思われます。なぜならの携帯のみコンテンツは日本に最適したローカライズコンテンツであり、海外が配信するコンテンツでそのレベルに達するのは難しいです。その上言語的な問題点も存在しており、そもそも日本語化されないコンテンツも多いでしょう。

となると、日本のコンテンツ提供者側の人達が新しい環境で今までの「携帯のみコンテンツ」に衰えないような質と量のコンテンツを創り出さなければなりません。初めのうちは完全に携帯のみコンテンツの代わりになれるまで行かなくても、せめて携帯のみコンテンツから離れる人たちの拒絶感を減らせるようなレベルに達成する必要があると思います。

日本ではまだ非スマートフォンな携帯端末が一般的で、今も非スマートフォン携帯端末コンテンツがスマートフォンコンテンツより儲かれるポテンシャルが高いかもしれないが、コンテンツ配信者も比較的に少なく、このスマートフォン革命の早い段階から参入した方がブランド力とステータスを高めるポテンシャルがあるはずです。それに、早めに始めた者が後から始める者よりいろいろなノウハウを積むことができ、その積み上げたノウハウをうまく利用することで他人より有利な位置に立つこともあるでしょう。今すぐ目の前にある利益の可能性が少し低くても、将来な利益ポテンシャルは決して少なくないと思います。


スマートフォン革命が作り出してくれた世界的なモバイル事業の波を、日本は乗りこなして世界的なリーダーの位置に昇進するのか、乗り遅れて取り残されるのでしょうか。世界携帯市場が今大きく変化していくように、日本にも大きな変化が必要とされる時期にあるでしょう。
明治維新を行う気持ちで、今の日本の携帯市場鎖国を一緒に解いてみませんか?